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歴史館入口 | ||||||||||||||||||||||||
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文久三年(1863)二月八日、江戸小石川の伝通院を出立した二百数十名の「浪士隊」の中には、近藤勇、土方歳三をはじめとする試衛館道場の若者たちがいた。将軍家茂の上洛の警備という名目で集められた彼等は中山道を一路京都をめざした。 例によって「ロマンチ※」土方歳三は、「木曽掛橋」をはじめ「木曽八景」といわれる中山道の名所を冠した短歌を作っている。それらの歌は洒落た色紙に記されて今日も残っているが、まるで女性が書いたような細くて流れるような筆跡に驚かされる。 歳三はこれらの歌を浪士隊として中山道を旅しながら詠んだのかもしれないが、そうではないかもしれないと想像することもできる。 実際、上洛の旅が始まって早々に、近藤勇の失策が原因で「芹沢鴨焚火騒動」のようなトラブルも発生しているように、浪士隊の移動は、のんびりと物見遊山的な旅情に浸っている場合ではなかった。 そんな中、キラキラの色紙に水茎の跡も麗しく和歌などしたためる余裕は、普通の人間ならおそらくないのではと想像する。 ところで、「木曽八景」とは、歳三たちの上洛より100年ほどの昔に、「近江八景」になぞらえて作られたもので、それぞれにちなんだ和歌も詠まれている。 歳三は、義兄の佐藤彦五郎の影響を受けて、俳諧と並んで和歌の素養もかなり身につけていただろうから、おそらく中山道を通っての上洛ということで、あらかじめ木曽八景の古歌を知っていたか調べたかして、それらを踏まえたかのような歌を作ったのかもしれない。 コーナーでは歳三の詠んだ歌を観光案内に、木曽八景の名所めぐりをしていくことになると思う.。 |
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※ロマンチ 三谷幸喜脚本のNHK大河ドラマ「新選組!」の続編として放送された「新選組!!土方歳三最期の一日」で用いられた言葉。 片岡愛之助演じる榎本武揚が発した「ロマンチスト」という言葉を、山本耕史演じる土方歳三が無理矢理省略して引用したもの。 |