あばら家でうたた寝をし、寒さを感じて目が覚めたら月がかかっていた。 歳三の生家は「お大尽」と呼ばれるほどの豪農であり、あばらやとは程遠い立派な家だったから、いったいどこの「あばらや」で寝ていたのだろうか、と余計な詮索もしたくなる。 たぶん天然理心流の出稽古先なのかもしれないとは思うが、外にはほんのりと春の月までかかっているという舞台設定、なにやら意味深な「仮寝」である。 その後風邪などひかなかっただろうか? 色々と気になるものを残す句であることだ。 (2006 3.29)