稲の花が露の降る穂先を登るように咲く
立春から数えて二百十日目とか二百二十日目は、昔から台風の被害のおきやすい時期で農家では「厄日」として警戒した。
まさに稲の花の咲く時季だからである。風に吹きあらされては元も子もない。
農家の出身の歳三もまた、稲の成育には無関心ではいられなかったようだ。
「穂先に露が降るのを見ている間にも、その穂先が伸びて稲の花が咲きだした」様子を観察しているのだ。
稲の花の命は朝のうちのほんの2〜3時間と聞く。
しかしその花が咲かねば決して実ることはない。
歳三もまた、武士として短く咲く花になることを選んだのかもしれない。
瑞穂の国のために。
(2006 3.25)
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