火に焼かれる虫にも
願い事があったのかもしれない
「飛んで火に入る夏の虫」
その身を焼かれるにもかかわらず、火の明るさに惹かれて集まってくる虫たちを歳三がじっと見つめている。
「一寸の虫にも五分のたましい」
小さくても、この世に生きる望みや願いがあったかもしれない。
或いは、何かに願いを届けようとして、敢えて炎の中に舞いこんでいったのかもしれない。
時代に流されるのを嫌い、敢えて滅びの道を突き進まねばならなかったとしても、
「武士」として本望、そんな歳三の決意とも重なるようだ。
気のせいにすぎないのだが、火取虫の音が「独り武士」にも聞こえてくる。
(2006 3.24)
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