菜の花が
すだれのように咲く中を
朝日が昇る
菜の花が一面に咲き乱れている様子を「すだれ」と表現したのだろう。そこに朝日が差してきて、あたりは黄金色に輝いている。
歳三の俳句は風景画的なものが多い。
その風景は、日常の中に現れた奇跡のように歳三には思えたのかもしれない。
たとえ歳三が気がつかなくても、生きていくには何も困りはしない一瞬だった。
けれども、その一瞬を受け止めることは、歳三にとっては生きた確かな証だった。
そしてその感動を紙の上に書き残しておいてくれたおかげで、150年以上の時を隔てても我々は歳三と同じ風景を感じることが出来る。
おそらく歳三が覚えた春の「五色」のひとつ。
菜の花は今でもちゃんと春を覚えていて、朝日の中で黄金色に咲き続ける。
(2006 3.21)
|