客人から
あくびをうつされた
春の雨
あくびは他人からうつるものだ。
客人があくびをしたら、その場にいた歳三たちにも伝染してしまったらしい。
「もらい泣き」なら聞いたことはあるが、「もらひあくび」という表現がとても可笑しい。
争い事や心配事が何ひとつない、のどかな春の一日のふとした瞬間を、歳三は茶目っ気を含ませて書き残している。
のちに会津、箱館としだいに時代に追い詰められていった頃の歳三にも、「もらひあくび」などする時があっただろうか。
ひょっとしたらその頃の歳三でも、俳句に限ってはかなり呑気な言葉をつづっていたのかもしれない…などと想像してしまう。
(2006 3.12)
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