横に行く足跡は無い
朝の雪
夜のうちに静かに出来上がっていた銀世界。
朝、もうすでに何人かがこの雪の上を通ったようだが、まるで雪を踏み荒らす場所を最小限にとどめようとするかのように、足跡は同じ場所に行儀良くつけられている。
雪がめずらしい地域に住んでいると、真っ白に積もった雪面はそのまま大事にしておきたいような気持が働くものだ。
せっかくきれいに積もった雪に、無粋な足跡を残すことが許せないのだ。
もしもわざとその足跡から外れた歩き方をする者がいたら、腹を立てていたのではないかと想像させるほど、歳三の純粋な雪面へのこだわりは強い。
道を外れたことを許さない思い…
それは後に「士道に背くまじこと」と定めた新選組法度に通じる思いと見ることさえ出来る。
(2006.3.3) |