この世のものとは
見えない(思えない)
梅の花だ
「豊玉発句集」には「梅」が詠まれたものが多い。
その句集がまとめられたのが文久3年(1863)の春であることもその一つの理由だろうが、歳三の「梅」に対する思い入れには特別なものを感じる。
梅の花はまだ冬の息吹の残る最中に凛として咲き、あたりに芳しい匂いを漂わせ春を誘う。
古くから「梅」と一文字で書かれている場合は「白梅」のことである。
歳三は「白」に対しても強い憧れを持っていた。
武士としての潔さ、誇り高さを「白」に映していたのだろう。
気高い白さをもつ梅が、荒廃した人間たちと同じ世にあるものだとは信じられないと一瞬抱いた思いをストレートに表現したものだろう。
(2006.2.25) |