梅の花は、咲ける日にだけ咲いて 散る
発句集の最後に書かれている句である。
武士としての生き方をこの十七文字に凝縮して、歳三は運命の地、京都へと旅立っていった。
短くても精一杯に咲いて、死に臨んでも潔くありたい…戊辰戦争の最後の最後まで闘い、散っていった歳三の生き方がこの句に結晶しているかのようだ。
歳三はこの発句集をまとめた後も、きっと俳句を詠んでいたはずだ。中には戦乱の最中に散逸したり、処分されてしまったものもあったに違いない。
京都で、会津で、箱館で…
一体どのような風景を、どのような言葉で書いていたものか、もはや知る由もない。
しかし、考えようによっては、歳三ならばこんなふうに書いたのではないかと、歳三に負けないくらい「ロマンチ」の我々にとっては、想像の余地がたくさんあるということでもある。
(了)
(2006 3.31)
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