水音に沿って川千鳥の声が聞こえる 川近い道を歩いていると、流れの音に沿うように千鳥の鳴く声が聞こえてくる。 「音」や「鳴き声」で存在を確かめているところを見ると、おそらく夜のことなのだろう。 街灯も全く無い、民家の灯火も今とは比べ物にならないくらい少なかった頃である。夜は本当に暗く、静けさの中に川の流れる音と、川にいる千鳥の鳴き声だけが響いている。 歳三の頭の上には降るような星々がまたたいていたことだろう。 そして、星の光を映した多摩川の水面は、歳三の瞳の中で白く浮かんでいたに違いない。 (2006 3.26)